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「地域猫」ヒストリー

「地域猫」という言葉は、いつから使われていたのでしょう。

調べるにつけ、諸先輩方の熱意と努力には、頭が下がります。

関係者への直接取材と客観的資料によって記載しましたが、誤りがありましたら確認の上で修正しますので、ご指摘ください。

Special Thanks!

Mr.Kurosawa & Mrs.Kudo

「地域猫」のはじまり

1997年4月

横浜市磯子区にて、「磯子区ホームレス猫防止対策事業」が開始された。

飼い主のいない猫と地域住民との共生を目指す、全国初の行政の事業である。

この時点では、まだ「地域猫」という言葉は公表されていない。しかし、行政(磯子区)内部では徐々に使われ始めていた。

「地域猫」という言葉が公になる

1997年11月

1997年11月30日の「第3回磯子区民と考える猫問題シンポジウム」(通称「ニャンポジウム」)で公表された保健所計画(案)に「地域猫」という文言が記載され、資料として参加者に配布された。

​これが、日本で最初に、「地域猫」という言葉が公になった瞬間と思われる。

「地域猫」という言葉、さらに広報される

1998年7月

磯子保健所衛生課によって「区民と考える猫問題シンポジウム(ニャンポジウム)報告書」が発行され、町会を中心に配布された。この報告書内でも「地域猫」という文言が記載されている。

民間団体の会報に登場

1998年11月

任意団体「ねこだすけ」による会報「ねこだすけニュース  Vol.7」で、「地域猫ってな~に?!」という特集号が発行された。民間発行物においては、これが「地域猫」という文言の初登場と思われる。記事によれば、全国7ブロックで8グループが地域猫対策を実践中、とのことである。

なお、任意団体「ねこだすけ」は、この後、NPO法の成立とともにNPO法人となる(1999年10月)。

横浜市磯子区のガイドラインに「地域猫」が記載される

1999年3月

「磯子区猫の飼育ガイドライン」が制定された。

この中で、「磯子区としてはどのような猫を地域猫と呼ぶのか」が明記されている。

その後、様々な立場から「地域猫」が定義されることになるが、これが日本初の、行政による「地域猫」の定義である。

東京都の審議会で、飼い主のいない猫について答申が出る

1999年3月

東京都は1998年7月に、有識者会議「東京都動物保護管理審議会(現・動物愛護管理審議会)」に、猫の適正飼養について諮問した。

これに対し、1999年3月に出た答申において、飼い主のいない猫について、以下のように対応すべきとされた。

  1. 地域に住む人が適正に管理し、共存を図れる方法を検討することが必要である。

  2. 具体的方法は、地域特性や地域住民の意思に基づいて、住民主導により地域ごとにルールづくりが行われるべきである。

答申を受け、東京都の施策が始まる

2001年4月

東京都が、「東京都動物保護管理審議会(現・動物愛護管理審議会)」の答申に基づき、2001年度~2003年度までの3年間の時限事業として『「飼い主のいない猫」との共生モデルプラン』を開始。

人と猫との共生に向けて、住民、民間団体、行政(東京都と区市町村)が協力していく仕組みとして、試行的に実施したものである。​モデル地区第1号は新宿区内の地域。

環境省のガイドラインに「地域猫活動」が記載される

2010年2月

環境省「住宅密集地における犬と猫の適正飼養ガイドライン」において、住宅地における飼い主のいない猫対策として、「地域猫活動」の概要が示された。

​~以下抜粋~

『地域猫活動は地域住民と飼い主のいない猫との共生をめざし、不妊去勢手術を行ったり、新し い飼い主を探して飼い猫にしていくことで、将来的に飼い主のいない猫をなくしていくことを目的とし ています。ただし、実際に数を減らしていくためには、複数年の時間を必要としますので、当面は、これ以上猫を増やさない、餌やりによる迷惑を防止するなどを目的としています。地域猫活動は、「猫」の問題ではなく「地域の環境問題」としてとらえ、地域計画として考えていく必要があります。』

改正動物愛護管理法の委員会附帯決議に「地域猫対策」が記載される

2012年8月

「動物の愛護及び管理に関する法律」改正案の参議院環境委員会議決に際し、その附帯決議として、「地域猫対策」に関することが記載された。

​~以下抜粋~

『飼い主のいない猫に不妊去勢手術を施して地域住民の合意の下に管理する地域猫対策は、猫に係る苦情件数の低減及び猫の引取り頭数の減少に効果があることに鑑み、官民挙げて一層の推進を図ること。』

環境省による自治体向け指針に「地域猫対策」が記載される

2013年8月

2012年の「動物の愛護及び管理に関する法律」の改正を受け、改正法の目的を実現するための、自治体に向けた指針として、2013年8月に環境省告示「動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針」が改正された。その中で、「動物による危害や迷惑問題の防止」のための「講ずべき対策」として、「地域猫対策」が記載された。

​~以下抜粋~

『住宅密集地等において飼い主のいない猫に不妊去勢手術を施して地域住民の 十分な理解の下に管理する地域猫対策について、地域の実情を踏まえた計画づ くり等への支援を含め、飼い主のいない猫を生み出さないための取組を推進し、 猫の引取り数削減の推進を図ること。』

環境省による国民向け基準に「地域猫対策」が記載される

2013年8月

2012年の「動物の愛護及び管理に関する法律」の改正を受け、改正法の目的を実現するための、国民に向けた基準として、2013年8月に環境省告示「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」が改正された。その中で、飼い主のいない猫を管理する方法として「地域猫対策」が記載された。

​~以下抜粋~

『飼い主のいない猫を管理する場合には、不妊去勢手術を施して、周辺地域の住民の 十分な理解の下に、給餌及び給水、排せつ物の適正な処理等を行う地域猫対策など、 周辺の生活環境及び引取り数の削減に配慮した管理を実施するよう努めること。』

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