地域猫活動ってなに?
猫は、6000年前、古代エジプトの時代にはすでに人間とともに暮らしており、長い歴史を人間とともに歩んできました。
人間社会とは関わりなく生きている野生動物とは異なり、犬と同様に、人間社会の構成員です。
魅力的な動物であり、多くの人の心を捕らえていますが、反面、特に住宅地においては、飼い主のいない猫が増えすぎることによって、様々な住環境被害ももたらしています。
野生動物ではありませんから、猫がもたらす諸問題は、人間社会の問題として考えていく必要があります。
飼い主のいない猫による諸問題を、「猫を愛護するのかしないのか」という視点ではなく、地域コミュニティが抱える課題として捉え直し、生態に見合った合理的な対策によって着実に個体数を減少させて、住みよい地域社会をつくっていくのが「地域猫活動」です(「地域猫対策」とも言います)。
具体的には、地域コミュニティにおいて「ノラ猫の数を減らしましょう。被害を減らしましょう。」と呼びかけて、住民の理解と協力の下で対策を進めます。
地域に安心を
たかが猫、されど猫。
外で暮らす猫に癒され、殺伐とした日常に立ち向かう活力を得ている人がいます。
外で暮らす猫を我が子のように思い、人目を気にしながら、どんなに悪天候の日も餌やりに通う人がいます。
激しいフン尿被害に大切な生活環境を台無しにされ、嘆いている人がいます。
餌を与えている人に対して怒っている人もいます。
誰の思いにも一理あります。
それぞれの真摯な思いに、不正解はありません。
地域猫活動は、様々な人の思いに寄り添い、地域の人々に「少しずつ良くなる。もうこれからは大丈夫。」という安心を提供します。
地域猫活動において、主役は、様々な思いを持つ住民ひとりひとりです。したがって、地域コミュニティで課題と解決方法を共有することが、なによりも大切です。
誰でも、どんな思いでも
地域の人々に安心が広がると、飼い主のいない猫がいてもイライラしない地域社会となります。
地域猫活動は人を相手にする活動ですが、結果として、人と猫が共生する地域になります。
猫をめぐる人間トラブルもなくなります。
多くの愛猫家の方が、人と猫が共生する地域となることを願って、地域猫活動を行っています。
多くの町会や自治会の方が、地域トラブルの解決のために、地域猫活動を行っています。
「とにかく自宅の被害を減らしたい」という気持ちで地域猫活動をしている方もいます。
誰が、どんな動機でやってもいいのです。
地域の人々に安心が広がり、暮らしやすい地域社会になるならば。
その自由さも、地域猫活動の魅力のひとつです。
ただし、どのような動機であれ、やり方は共通です。
人の心を大切にし、地域住民の理解と協力の下で行うのが、地域猫活動です。

Special Thanks
NPOねこけん

地域猫活動アドバイザー
石森 信雄
元・練馬区保健所職員。飼い主のいない猫をめぐる地域トラブル解決のため、練馬区地域猫推進ボランティア制度の立ち上げを行った。
制度開始後、練馬区では動物愛護相談センターに持ち込まれる猫の数が減少し、また、猫をめぐる苦情数も減少し続けている。
現在は担当者ではないが、ライフワークとして、地域コミュニティにおける人と猫との共生のあり方や、行政とボランティアの協働のあり方について、各地で講演や研修を行うなど、普及啓発をしている。
自称「普及啓発ボランティア」。
猫は好きでも嫌いでもないが、最近さすがに、猫の魅力が少し分かってきたような気がする。
最も好きな生き物は、人間。
妻は若い頃から猫と暮らしていたが、猫アレルギーを発症。
現在は、夫婦+男児+オカメインコの4人家族。
更新履歴
2023.8.20
資料を一部バージョンアップ
「具体的には」のページの「やり方・考え方」の資料を全体的にバージョンアップしました。
2022.5.07
資料を一部バージョンアップ
資料を一部バージョンアップしました。変更箇所は以下のとおりです。
「具体的には」のページ
-「ノラ猫トラブルのない地域社会をめざして」
-「5 全体まとめ」の13頁
2021.5.30
新宿区の取組の紹介動画を貼り付け
「具体的には」のページに、新宿区の取組の取組を紹介したYouTube動画を貼り付けました。